M7級首都直下地震、4年内70%…東大地震研
という記事が2012年1月、話題になりました。
4年で70%となると、とても気になりますね。
いまでもこの影響は大きいようで、
直下型地震で注目される銘柄はこれだ!
といった記事まで出る始末です。
この予測について少し調査してみましょう。
この4年で70%という数字、
もともとは東京大学地震研究所が
「2011年9月の地震研究所談話会で発表」したもので、
報道が正確ではない、というコメントも含めて
以下にまとめられています。
2011年東北地方太平洋沖地震による首都圏の地震活動の変化について
一部抜粋します。
異なる結果になったけれども、東北地震の影響もあるので、実際のところ断言できることではないようです。政府公表の『今後30年で70%』とは異なる数値になる理由
読売新聞記事にも書かれているように,文部科学省の地震調査研究推進本部は,南関東のM7程度の地震(いわゆる首都直下地震)の発生確率を「今後30年で70%程度」と発表してきました.本研究の試算「今後30年間で98%(あるいは,今後4年で70%)」は,政府発表の値とは異なるものとなっています.この相違の理由は,見ているもの(評価や試算の対象)の違いであると言えます.政府の試算では,過去150年間に起きたM6.7-7.2の地震を数えて,その頻度から確率を求めています(参考:地震調査研究推進本部の該当ページ (PDF)).つまり,東北地震による誘発地震活動が始まる前の定常的な地震活動の中から,首都直下地震に相当する地震を選び出して発生確率を計算しています.一方,本研究では首都圏で起こる東北地震の誘発地震活動が試算の対象です.ところが,東北地震の誘発地震活動と定常的な地震活動との間の関連性はまだよくわかっていません.したがって,両者の数字を単純に比較することは適切でないと考えられます.
計算手法については
この3月11日以降の地震活動には,3月10日以前からの定常的な地震活動と東北地震による誘発地震活動の両方が含まれていますが,後者の方が圧倒的に数が多いので,すべてが誘発地震活動であるとして解析されました.まず,グーテンベルグ・リヒターの式のパラメータb値や改良大森公式のパラメータp値を推定します.推定されたパラメータを『余震の確率評価手法』の中の算出式に代入して,M7程度(具体的には,M6.7-M7.2)の誘発地震が今後30年間に発生する確率を計算すると98%となりました.まったく同じ算出方法で期間4年間として計算すると,確率が70%となりました.とあり、この「グーテンベルグ・リヒターの式」がキモとなるようです。
なお、こちらのキーワードで検索すると、
地震は大地の摩擦であるというページが出てきますが、
この式で地震を予知するというのは眉唾ものである、
といった説明があります。
グーテンベルク-リヒター則地震の予測というのは、今のところ簡単にはできないもののようです。
話しが難しくなるが、ちょっと、つきあって欲しい。 グーテンベルク・リヒター則では「地震の生じる頻度は地震の大きさ(=エネルギー)の冪乗の逆数に比例する」
つまり、エネルギーの2乗に逆比例するとするとエネルギーが10倍大きい地震は100回に一回しか起きない、というわけだ。マグニチュードが1違うと地震のエネルギーは30倍違うので、起きる回数はずっと減ってくる。最近、「地震を予言した」という話しが良く週刊誌に載っているが、これは眉唾ものである。良く読むと、大体、予言に成功しているのはマグニチュード5クラスの地震で、阪神大震災に相当する7クラスの地震の10000倍くらい起きやすい地震である。それで、地震を予言した主張するのは、「明日の天気があてられた。だから、一年に一回しか来ない巨大台風がいつ来るかも分かるぞ」といっているほどの(それよりまだひどい)論理の飛躍なのである。
(中略)
冷静に考えてみる
この モデルで大きな地震が起きるのはいろいろ偶然が重なって、たくさんのおもりが滑べるか滑べらないかのぎりぎりの状態にたまたまなって、それから一斉に滑べる、という時しかない。さて、こういう状態になるためにはかなり長いこと、中くらいの地震(つまり、全部が滑べるわけでないが数個よりはずっと多くのおもりが一斉に動く)が起きない、という状態が続かなくてはならないだろう。なぜなら、そのような中くらいの地震があっちこっちで起きていては、全体のおもりが全部滑べるか滑べらないかというぎりぎりの状態に揃う前に、部分的におもりが動いてしまうからだ。では、中くらいの地震がずっと起きないためにはどうすればいいかというと、それよりやや小さい地震がかなり長いこと起きないでいなくてはならず、そのやや小さい地震が起きないためには............とやっていくと結局、将来、大きな地震が起きるかどうかは、今の時点でたった一つのおもりが動く小さな地震が起きるかどうかで変わってしまうということを意味する。こんな微妙なことに影響されては、遠い未来の地震の予言などできっこないモデルになっていることがわかる。
グーテンベルク・リヒター則は再現されてしまった
じつはこれには後日談がある。このモデルは地震を単に摩擦現象としてモデル化したのだから、見るからに摩擦のモデル然としている。逆にいうと、 グーテンベルク・リヒター則は、実は地震の法則でもなんでもなくて、摩擦の法則なんではないか?こう思うのは僕一人ではないらしく、最近、ある実験家が次のような実験を行なった。
斜面の上に溝を掘ってアクリル棒をおく。斜面の傾きは滑り出すか出さないかギリギリくらいにしておく。次に、この斜面に衝撃を与える。すると、アクリル棒は滑り出すが、斜面の下まで滑べり降りてしまうわけではなく、どこかでとまる。この滑べった距離を「地震の大きさ」にみたてて統計をとると、見事にグーテンベルク・リヒター則を再現してしまった。何のことはない、やっぱり、摩擦の法則だったわけだ。
ただ予測ができないから、こないわけではありません。
いつくるか、4年以内か、30年以内か、そのまた先か。
それは分かりませんが、
我々にできることは、いつ来ても悔いがないように準備することぐらいでしょうか。
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